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INTERVIEW

– カジュアルフレンチ

sincereBLUE

「サステナブルシーフード」がコンセプト
芯のあるレストランは、今日も賑わう

―魚の価値を高める活動

サステナブルな魚って何なんだろう?と思いながら伺った。「Sincere BLUE」のおいしさは言うまでもない。本店は北参道のフレンチレストラン「Sincere」で、2018年から連続してミシュラン一つ星を獲得している。オーナーシェフの石井真介さんは、よりカジュアルな新業態を目指してSincere BLUEをオープンさせた。だがこのレストランのすごさは、食材へのストイックなほどのこだわりにもある。

「サステナブルシーフード」とは、未来にわたって持続的に魚を食べ続けられるように、水産資源や環境に配慮し、適切に管理された魚のことをいう。Sincereグループでは、MSC認証(持続可能な漁業で撮られた水産物)およびASC認証(責任ある養殖により生産された水産物)だけでなく、流通・加工の管理認証であるCOC認証も取得。認証されていない水産物の混入を防ぐとともにトレーサビリティの確保を目的としており、漁師、仲卸業者も取得する必要があるので、レストランが持っていなければ卸し先がない。諸外国ではスーパーでも当たり前の認証だが、残念ながら日本ではまだこの制度自体が普及していない。「レストランのCOC認証が増えてくれば、自然とその先も取りやすくなると思います」と、Sincere BLUEでシェフを務める吉原誠人さんは言う。また、専用の冷蔵庫や冷凍庫を所有したり、定期的な監査を受けたりと、厳しい基準をクリアしなければならない。

だが乱獲などの影響によって失われている水産資源をどうにかしたいと、認証を受け、未利用魚(通常は使われていない魚)まで大切に使っている。吉原さんは、「魚の価値を高めている人にしか頼まない」とも話す。鮮魚の仕入れは、1人の信頼する漁師、横須賀・長井漁港の長谷川大樹さんからのみ。「アジでもサバでも、網で捕って放置された魚は使いません。ここには、生きたまま神経締めされ、きれいに梱包された魚だけが届きます」。

フランス修行から帰ってきて日本を1周したという吉原さんは、日本各地で釣りをした。「どこに行っても地元の漁師さんが魚が捕れないと嘆いていて、本当に魚が枯渇しているんだと実感しました」。Sincereに入社したら、まさにそのための活動をしていた。「つながったと思いました」。

―圧巻のブッフェには未利用魚も登場

「日本近海には約3000種類の魚がいると言われていますが、そのうち食べられているのはわずか50種類ほど。ほとんどが未利用魚なんです」。人気の魚は流通に乗れるが、あまり人気でない魚は雑に扱われる。「長谷川さんは、そんな魚も締めて送ってくれます」。マンボウ、サメ、ヌタウナギなど、普通レストランでは使われない未利用魚も、届けばメニューに並ぶ。見ても分からない魚の場合もあるが、カルパッチョや炙り、干物など、さまざまな調理法を試してみる。「日本は海に囲まれているのに、海外の魚が食べられているのは寂しい。自然が好きなので、逆らうべきじゃないと思う。地産地消こそがあるべき姿で、それが人の幸せにもつながるのではないでしょうか」。

捨てられてしまうマダイの内臓も無駄にせず魚醤にしたり、ほとんど使われることのないマダイの魚卵も、一部を干してカラスミにしたりする。「普通はボラを使いますが、何倍も大きい。魚版のラルド(本来は豚の背脂の塩漬けまたは燻製)を作れるかなと思って」。

メニューはコースのみで、オードブルブッフェには常時12〜14種類を用意。自分でとりにいくスタイルではなく、小皿で各テーブルにサーブされる形だ。「コロナがきっかけでしたが、お客さまごとにすべての説明ができてサステナブルのことも伝えられるので、続けていくつもりです」。

メインのシグニチャーメニューは、フレンチの古典料理であるルー・アン・クルート(スズキのパイ包み焼き)をSincere流に昇華させた「サステナブルなたい焼き」。マダイだったりスズキだったり、時期によって異なるが、キュートなたい焼き型のパイ生地に包まれた魚に貝だしのミルクのフォームを合わせ、カプチーノのように仕上げたソースを添えて、鮮やかな野菜やエディブルフラワーで美しく仕上げている。

―チームは一つの家族でありたい

オープンから1ヶ月はとても忙しかったが、「みんな笑って仕事をしてくれました」。現地のことも知って欲しいと、休みの日を利用して漁港を見に行こうと誘ったら、全員が行きたいと言ったのだそう。「結局人数制限があったので、じゃんけんで決めました。料理人は生きものを扱う仕事。生きている状態を見て初めて、食材を大切にしようと思える。どう泳いでいるか。捕られたときにどう暴れるか。それを見て欲しいと思ったんです」。

芯がないレストランは残らない。「抑えつけられたり、やらされたりする料理じゃなくて、好きなものを自由に作ってくれていいと思っています。好きではじめた仕事だから」。スタッフが生き生きと働いているのは、料理に向き合う真摯な姿勢と、このレストランの信念を伝えていこうという使命感があるからだと思える。

Sincere BLUE

営業時間 ランチ
平日 11:30-14:00(L.O.12:30)
土日 11:00-14:00(L.O.13:30)
ディナー
17:30-22:30
※コロナウィルス感染拡大防止のため、社会情勢を踏まえ、時短営業または休業している場合がございます。
※ご予約はこちらより↓
https://www.tablecheck.com/ja/shops/sincere-blue/reserve
電話 03-6434-0703
定休日 月曜日
※祝日は営業、翌平日休業


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